新卒で会社に入社すると、社内に当たり前のように入ってきて営業している生命保険のおばちゃんから勧誘され、「会社の先輩もみんな入っている」という理由から生命保険に加入するかたが多くいらっしゃいます。
新卒で生命保険が必要な方はほとんどおらず、多くの方にとっては余計な保険料を払って損することとなります。
そんな、生命保険の加入経緯として一定の割合を占める入社直後の生命保険加入について、今回の記事では加入をおすすめできない理由や、今後の生命保険との付き合い方について解説させていただきます。
この記事を読むことで、生命保険を勧められ加入をお悩みの若い方(すでに生命保険に加入された方も含めて)が、不要な生命保険の加入を防止でき、必要な生命保険にのみ加入することで、正しく生命保険を利用することができるようになります。
生命保険ってなに?
生命保険は20代に必要?
生命保険に迷ったときの注意事項ってなに?
すでに入ってしまっている場合はどうすれば?
生命保険とは?
生命保険とは、死亡や病気などのもしもの時に備える商品です。
毎月、所定の保険料を納めることで、もしもの時(死亡や病気)に一定の金額を保険金として受け取ることのできる商品となります。
保険料は掛け捨てタイプのものと、一定の貯金機能を組み合わせて、もしもの時に備えながら貯金もできるタイプの商品があります。
また、老後のお金を用意することを目的とした年金保険・介護保険といった生命保険も存在しています。
生命保険は20代に必要か?
生命保険の加入の目的とは次の3つになります。
①死亡時の備え
②病気の時の備え
③貯金
20代に生命保険が必要かどうかを考える上では、3つの目的が20代の方のニーズに合致するかどうかを確認していけば判断することができます。
①死亡時の備え
生命保険という名前のとおり、主たる目的となる死亡時の備えですが、死亡保障が必要な方というのは、一家の大黒柱などで、養う配偶者やお子様がいらっしゃる方です。
新卒の20代の方などは養う方はいない方がほとんどですので、死亡時の備えが必要なケースは基本的にはありません。
将来ご結婚し、お子さんができて、初めて死亡時の備えについて検討するくらいで良いのです。
基本的には死亡時の備えを目的とした保険の加入は不要となります。
②病気の時の備え
ご想像通りかと思いますが、20代は病気になる可能性は低く、入院が長期化する可能性も低いです。
また、病気になった場合でも日本は医療に対する国の保障が手厚く、次の2点の保障があります。
・自己負担額は3割
・自己負担額の上限は月8万円まで
20代の方に限った話ではありませんが、国の保障が手厚いため病気により生活が立ち行かなくなることということは基本的には起こりません。
病気になる可能性が低く、病気になった場合でも国の保障を受けることができますので、生命保険で備えるほどのものではありませんので、病気の備えを目的とした保険の加入は不要となります。
国の保障の仕組みをもう少し詳しく知りたい方は次の記事を参照ください。
③貯金
20代の方でも貯金は必要です。
ただし、貯金の方法として、生命保険での貯金は非常に効率が悪いため、貯金を目的とした保険の加入は不要となります。
このように、生命保険に加入する主な目的に対して、20代ではどれも当てはまることがありませんので、20代での生命保険の加入は不要となります。
貯金を目的とする場合は生命保険ではなく、投資信託商品を活用するのが賢い選択となりますが、詳細が気になる方は以下の記事を参照ください。
注意事項
そうは言っても、新卒で入社して生命保険に加入する20代の方は多い状況です。
保険会社の営業社員の言葉巧みな営業の結果なのですが、代表的な営業トークをいくつか紹介し、それら全くもって的を得ていないことを解説することで注意喚起できればと思います。
会社の先輩はみんな入っているんですよ
本ブログのタイトルにもなっているこちらの営業トーク。
これはもう営業トーク呼べるものですらありません。会社の先輩が入っていることと、自分が生命保険に加入することは関係ありません。
このような営業トークを受けたらこう言ってください。
もっと真面目に営業してください。
では、続いての例です。
若いうちに保険に加入した方が少ない保険料で加入できます
若いうちに生命保険に加入することで少ない保険料で保険に加入することができるのは事実です。
商品にもよるのですが、加入が遅くなることで保険料の払い込み期間が短くなることから保険料が高くなり、トータルで支払う保険料はあまり変わらないこともあります。
分かりやすいイメージとして、ソニー生命の有期払込終身保険の年齢別の保険料を紹介させていただきます。
この商品は加入してから60歳まで保険料を毎月支払い、一生涯に渡って死亡時の保険金が200万円支払われるという保険です。
男性 | 25歳 | 30歳 | 35歳 | 40歳 | 45歳 |
月額 | 4,058円 | 4,808円 | 5,860円 | 7,438円 | 10,072円 |
トータル | 約170万円 | 約173万円 | 約175万円 | 約178万円 | 約181万円 |
毎月の保険料は25歳と45歳で金額に倍以上の差がありますが、トータルで支払う保険料に大きな差は生じません。
このように、若いうちに急いで加入することのメリットがあまりない場合もあります。
もし仮にメリットがある場合でも、20代ではそもそも生命保険の必要性がないため、不要な生命保険に加入して無駄な保険料を支払うこととなります。
このような営業トークを受けたらこう言ってください。
年齢別の月額保険料とトータルの
保険料を提示してください。
それを見てから考えます。
では、続いての例です。
貯金をしながら、死亡・病気などのもしもに備えることができます
生命保険の加入の目的を3つとも網羅した、完全武装された営業トークのように聞こえます。
ですが、そもそもの必要性を思い出してください。
20代では死亡・病気の備えは不要です。
貯金を目的とする場合、敢えて効率の悪い生命保険を選択する必要はありません。
このような営業トークを受けたらこう言ってください。
死亡・病気に20代で備える必要はないと考え
ています。
貯金については投資信託商品で行う予定です。
すでに生命保険に加入している場合
それまでの保険料の多くは無駄になってしまうと思いますが、即時解約することをお勧めします。
例えば貯蓄性のある生命保険の場合でも、掛け捨てとなる保険料や生命保険会社への手数料などが常に発生している状態ですので、不要な生命保険は解約するで問題ありません。
生命保険を解約することで無駄になってしまうお金が発生しますが、解約後、生命保険に毎月支払っていた保険料を投資信託商品等の適切な投資商品に割り当てることで、無駄になった保険料は時間をかければ必ず取り返すことができます。
また、生命保険解約の申し出を、営業を受けた営業職員に対して行うのは面倒くさいとう方は、各社のコールセンターに連絡するのがおすすめです。
その際にコールセンターに「営業職員とは話をしたくない」とお伝えしていただければ、より煩わしさを回避して解約手続が可能です。
まとめ
20代の方で生命保険に加入する必要は特にありません。
また、生命保険会社の営業トークについて、加入に値するような営業トークはないように思います。
凄腕の営業職員がもっと巧妙な話法で20代の皆さんを惑わしてくるかもしれませんが、何を言われたとしても、生命保険の加入の目的3つと照らし合わせて生命保険が不要であれば、結論は不要となります。
こちらで紹介した以外にも受けた営業トーク等があれば是非、問い合わせページやSNSで教えていただければ追加で解説させていただこうと思います。
生命保険を勧められ加入をお悩みの若い方、すでに加入してしまった方が、本記事をきっかけに適切な生命保険の利用を行っていただければ幸いです。
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