老後に介護が必要になった場合に保証を受けられる介護保険。
日本は平均寿命が85歳程度の長寿社会ということもあって、介護保険の注目が高まっています。
こちらの記事では、そんな介護保険について保険会社の営業職員からは語られないフラットな観点で、必要性について解説させていただきます。
結論から言うと、介護保険に加入して介護費を備えるのはやめましょう。
その理由は記事の中で解説します。
この記事を読むことで、不要な介護保険に加入せずに、適切な方法で介護のリスクに備えることができるようになります。
・介護保険ってなに?
・介護保険に入るべき人は?
・介護保険を検討する上での注意事項は?
介護保険とは?
介護保険とは、所定の認知症や介護状態と認定された場合において、保険金が支払われる保険です。
保険金は一時金で支払われるものや、年金として一定期間受け取れるものがあります。
また、死亡時に死亡給付金が支払われるような保険もあります。
所定の認知症や介護状態となった場合に150万円の保障が受けれる(死亡給付金なし)、シンプルな仕組みの朝日生命の介護保険に60歳男性が加入した場合、保険料は月に1,680円となります。
介護状態にならずに死んじゃったら
保険金はもらえないんだね。
介護保険はどんな人に必要か?
介護保険が必要な方は、介護に関する支払いが発生した場合に、介護費用を支払うことができない方に必要な保険となります。
介護保険が必要かどうか考える上では、介護にどの程度のお金がかかるかということを明確にした上で、必要な金額を支払う余力があるかを判断することが大切になります。
介護にはどの程度のお金がかかる?
名前がややこしいのですが、国が運営する保証制度として介護保険制度があり、この制度により介護費用は1割負担となります。
※年収により2~3割負担となる方もいますが、基本は1割負担
国の保障があるおかげで、自己負担額は軽減されるため、最重度の介護状態である要介護5の場合で年間約34.8万円の自己負担額となります。
介護期間は平均は約4年7か月となります。
仮に最重度の介護状態で平均の介護期間となった場合で、約160万円が必要となりますのでこちらの金額が一つの目安になります。
ですので、約160万円の介護費用を用意できている方は、介護保険に入る必要はないということになります。
老後の生活費も確保しないといけないから、なかな
か160万円も余裕を作れないよね。
やっぱり介護保険に入って備えるのが良いのかな?
160万円は大金ですからね。
ただ、それだけで介護保険に入ると決めるのは考え
直した方が良いかもしれません。
次の章では介護保険を検討するにあたっての注意点
について説明します。
介護保険を検討するにあたっての注意点
①介護保険の支払額と比較する必要がある
②「少子高齢化により国の保障制度が悪化していく」に惑わされてはいけない
③実際に介護が必要になるのは20-30年後となりますが、社会が大きく変化している
①介護保険の支払額と比較する必要がある
本記事で紹介している朝日生命の介護保険の場合、60歳加入で保険料は月に1,680円となります。
現在60歳の方の平均寿命は87歳と予想されているので、平均介護期間4年7か月を差し引いた、82歳頃まで保険が発生するものとした場合、保険料の払込総額は約44.3万円となります。
介護状態となる確率は1/4と言われています。
約44.3万円保険料を支払い、1/4の確率で150万円を受け取れて、3/4の確率で支払った保険料は掛け捨てとなることとなります。
介護にならずに90歳まで長生きする可能性もあり、その場合は保険料がかかり続け、保険料の払込総額は約60.5万円まで増加してしまう可能性もあります。
60歳で介護保険に加入する場合は、保険金を受け取るまで平均で22年間の投資期間を確保できますので、本ブログで度々おすすめしている全世界株式インデックスファンドでの積立での資産形成が十分に可能となります。
全世界株式インデックスファンドでの積立を月に1,680円行うと、82歳時点では約69万円、90歳時点では113万円となります。
全世界株式インデックスファンドでの積立の場合であれば、介護が必要にならなかった場合でもそれまでに積立たお金は1円も無駄になりません。
※全世界株式インデックスファンドについては以下の記事を参照ください
90歳まで生きるなんてレアケースでしょ
いいえ、レアケースではありません。
平均寿命が87歳の場合、半分の方が90歳まで
生存することになりますので、十分に想定して
おく必要があります。
②「少子高齢化により国の保障制度が悪化していく」に惑わされてはいけない
少子高齢化により、国が運営する介護保険制度の保障内容が悪化することは考えられます。
そのため、民間の保険会社が提供する介護保険への加入を勧められることがありますが、国が支えられない介護費用を民間保険会社が支えられはずはありません。
誰もが介護が必要な状態になる確率が高くなるのであれば、手ごろな保険料で手厚い保証を得られることはできません。
高い確率で起きる介護を保障するためには、より多くの保険料をもらわなければ保険会社の運営が成り立ちませんので、必然的に割高な保険料を取られることとなります。
介護のように発生する可能性の高いリスク(1/4の確率で必要になるのですから高いリスクです)について保険で備えるのは効果的ではないため、貯蓄で備えるべきものとなります。
③実際に介護が必要になるのは20-30年後となりますが、社会が大きく変化している
60歳で介護保険に加入した場合、実際に介護が必要になるのは20-30年後となります。
20-30年後では、社会環境の変化や医療技術の発展により、医療・介護の体制が大きく変化していることが予想されます。
また、20-30年後にはインフレにより物価が大きく上昇している可能性もありますので、生命保険商品全般に言えることですが、現時点で150万円に設定した保険金が、実際に受け取るタイミングでは半分程度の価値しかなくなってしまっているケースも十分に考えられます。
長期の資産運用に強い、全世界株式インデックスファンドで積み立てることで、変化していく社会にも柔軟に対応することが可能となります。
まとめ
介護費は、1/4の方が必要となる費用です。
こういった発生頻度の高い費用については、保険で備えると割高な保険料を支払うこととなりますので、介護保険に加入して介護費を備えるのはやめましょう。
介護費が必要になるまでに、長期の資産運用に強い全世界株式インデックスファンド等の投資商品を活用し、長期間を掛けて堅実に貯蓄により、様々なリスクに対応可能な形で備えることが最も大切となります。
介護保険の加入を検討されている方、すでに介護保険に加入されている方が一度立ち止まって別の方法を検討されるきっかけに本記事がなると幸いです。
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