子供の学費の用意として多くの家庭で利用されている学資保険。
その利用率は2022年時点で約40%の家庭で利用されているといったデータもあります。
こちらの記事では、日本で広く利用されている学資保険について、保険会社の営業職員からは語られない、資産形成を目的とした場合のフラットな観点で必要性について解説させていただきます。
結論から言うと、学資保険は資産形成の効率が悪いので入らないでください。
理由は記事の中で解説します。
学費を用意することを目的とした場合における最適な方法についても記載させていただきますので、この記事を読むことで、より効率的な資産形成ができるようになります。
・学資保険ってなに?
・学資保険に入る時の注意事項は?
学資保険とは?
学資保険とは、お子さんの教育資金を準備するための貯蓄型の保険となります。
毎月一定額の保険料を支払い、お子さんが17~22歳になった時に満期保険金を受け取ります。
契約期間中に親が亡くなった場合、保険料の払込が免除となりますが契約は継続し、お子さんが17~22歳になった時には満期保険金を受け取ることができます。
親が亡くなった時は保険料の支払をしなくて良く
なるのに、設定した満期保険金は受け取れるんだ
2023年度時点で最も利率の良いソニー生命で試算してみます。
0歳のお子さんがいる30歳の男性が、お子さんの満期年齢を18歳、満期保険金額を300万円に設定した場合の保険料は13,470円となります。
払込保険料総額は2,909,520円(13,470円×12か月×18年)となります。
満期保険金額は300万円なので、リターンは約103.1%となります。
学資保険に入るにあたっての注意事項
①学費はインフレ傾向にある
②親の死亡時の保険料の免除は保証として中途半端過ぎる
①学費はインフレ傾向にある
学費はインフレ傾向にあり、1989年から2016年の27年間で私立大学の学費は1.37倍になっているデータがあります。
これは年あたりだと1.17%の上昇となりますので、積立期間を18年とする場合は、約1.23倍となります。
つまり、契約時点で『300万円必要だろう』と設定した金額は、18年後には実質369万円必要となっている可能性があるということです。
ですので、学費がインフレすることを踏まえると学資保険のリターン103.1%では十分とは言えません。
さらに言えば、リターン103.1%というのは最も返礼率の高いソニー生命の数値ですので、他の生命保険会社の学資保険を利用する場合は更に数値は悪く、リターン100%を下回る商品も珍しくありません。
②親の死亡時の保険料の免除は保証として中途半端過ぎる
親の死亡時に保険料の支払が免除されますが、契約は継続され満期保険金は受け取ることが可能です。
学資保険の満期保険は300万程度に設定することが大半ですが、300万円では親の死亡時の保障としては少なすぎます。
親の死亡に対する学資保険の保障は『おまけ』程度の意味しかありませんので、親の死亡に対する保障は別途、検討する必要があります。
リターン100%を下回るってことは、貯金するよりも
お金が減っちゃうってことだよね?
どうしてそんな保険に入る人がいるの?
『親の死亡時の保険料が免除されること』や
『保険は解約手続をしなければお金を引き出
せない』ため、貯金が苦手な人も子供の学費
このあたりのメリットを保険会社の営業職員
を用意しやすい。
が上手に説明するからですね。
学資保険に代わる選択肢について
お子さんの教育資金は大学入学時(18歳)等にめがけて確実にお金を用意する必要があります。
全世界株式インデックスファンドを利用することで高いリターンを確保することが可能ですが、お子さんの教育資金については大学入学時(18歳)等に確実に確保しておく必要のあるお金です。
※全世界株式インデックスファンドの仕組みについては以下の記事を参照ください。
保険での資産形成は損?保険より効果的な資産形成方法について解説 | ソナムの保険定理 (hokenn-escape.com)
ですので、リターンを取りつつ確実に資産を確保する方法として次の方法をとります。
前半5年は全世界株式インデックスファンドで積立て、後半13年は貯金する
インデックスファンドにおいては15年以上の長期間の投資期間を確保する場合、安定的なパフォーマンスを上げることが可能です。
そのインデックスファンドへの投資期間を運用期間を長く確保できる前半5年のみにし、後半を貯金することで、より確実に教育資金を用意することが可能となります。
この場合のリターンは以下のとおりとなります。
※計算の仕組みの詳細については先ほどリンクを張っている「全世界株式インデックスファンドの仕組み」の記事を参照ください
元金は学資保険の払込保険料総額と同額の2,909,520円となり、リターンは約122%となりますので、これにより堅実かつ一定のリターンを確保した学費の準備が可能になります。
まとめ
学資保険の保険機能(親の死亡に対する保証)は『おまけ』程度で、お子さんの学費を貯蓄することがメインの目的の商品となります。
しかしながら、貯蓄の機能は不十分で、中には元本割れする商品も世の中には多く出回っています。
加えて学費はインフレ傾向にある費用のため、もっと効率的な貯蓄を行っていく必要があります。
堅実かつ一定のリターンを確保した学費の準備が可能となる方法として『全世界株式インデックスファンドと貯金を活用する方法』を解説しました。
解説は少し複雑になりましたが、全世界株式インデックスの積立は非常に簡単に設定が可能です。(後半13年は貯金ですのでこちらも非常に簡単です)
学資保険の加入を検討されている方、すでに学資保険に加入されている方が一度立ち止まって別の方法を検討されるきっかけに本記事がなると幸いです。
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